リーダーシップを考える①「特性論」
リーダーシップとは何だろうか?
"Leadership is exercised when persons ... mobilize ... institutional, political, psychological, and other resources so as to arouse, engage, and satisfy the motives of followers."
「リーダーシップは人々が制度上、政治的、心理的、そしてその他の資源を動員することにより、フォロワーの動機を喚起、誘引、満足させる時に働くものである。」
(Burns, 1978)
リーダーが様々な要素を用いてフォロワーを巻き込み、
彼らのモチベーションを高める。
それをリーダーシップと呼ぶ。
では、リーダーシップをとれる人間とは?
リーダーとなる人物には同じ性格・気質・特性があるのではないか?
この観点からリーダーシップを考えたのが「特性論」というものである。
リーダーと聞いてイメージするのはどんな人だろう?
スティーブ・ジョブズ、ビルゲイツ、オバマ大統領…
日本の戦国時代に目を向けると、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康…
同時代に天下を取った3人であるが、その性格は大きく異なっていたことが知られている。
あなたの周囲にいるリーダーはどうだろうか?
私の周りの店長やマネージャーを思い浮かべると。
明るく強引に周囲を引っ張っていくタイプ…
もの静かだが冷静に状況判断をし指示を出していくタイプ…
その人自身は目立たないが適材適所を見つけるのが上手いタイプ…
様々なリーダーが存在する。
特性論は失敗!?
当初、特性論によるリーダーシップの研究はあまり上手くいかなかったそうだ。
というのも、リーダーたちの中に普遍的な特性を見つける事ができなかったのである。
その突破口を開いたのが、心理学の理論に基づくパーソナリティのビッグ・ファイブモデル、というものだ。
- 1 Neuroticism(神経症傾向、情緒不安定性)
▶︎冷静、熱心、緊張に動じない(肯定的)、神経質、意気消沈、不安定(否定的)
- 2 Extraversion(外向性)
▶︎社交的、話し好き、独断的
- 3 Openness to Experience(開放性、知性)
▶︎想像力が豊か、芸術的な感覚に富む、知的
- 4 Agreeableness(調和性)
▶︎気立てが良い、協力的、人を信頼する
- 5 Conscentiousness(勤勉性)
▶︎責任感が強い、頼りになる、不屈、完璧主義
研究で浮かび上がった大半の特性が、ビッグ・ファイブのいずれかに含まれる事が明らかとなった。
特性は、実際に有能なリーダーとそうでないリーダーを区別するというよりは、リーダーシップの出現や存在を予測するうえでの判断材料となる。
ここで留意しなければならないのは、ある人がリーダー特性を示したからといって、その人が必ずしも集団を目標達成に導くとは限らない、ということである。
次回はリーダーシップ論の別の観点からの研究である、
「行動論」について考えていく。